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腐った肉と雪の山
女3人で何かを探す旅に出る。
仲間は私より押しの強い彼女と、私より押しの弱い彼女。
制服を着て色々なところへ行く。
高級そうな古美術商でアメジストを様々な仕様に嵌めたアンティークを見ると、押しの弱い彼女は綺麗だ綺麗だと言って大はしゃぎする。それほど高い石でもないのに。私は店の主人の方が気にかかる。制服を着た私たちを軍人か何かと誤解しているらしい。慇懃にへつらう。
Read More... 大きな木が間隔を置いて並ぶ広場に出る。雨が降ってきたので傘を広げる。
あの木はマロニエ。
そう思って見上げるその木はマロニエではない。
けれどやっぱりあの木はマロニエ。
夢で幾度か訪れた山の中の集落に向かう。
いつの間にか日が暮れて、季節は冬になっている。
雪が積もって足元がおぼつかない。街灯がないので周りは真っ暗だ。人々は家の中にはいるらしいけれど、話し声も光も漏れてこない。冬なのだから仕方がない。
家と家の間の細い道を抜けていく時、足元がぼんやり明るくなった。顔を上げると、道の突き当たり、曲がり角にスイッチの入ったテレビがあった。私たちの後ろで誰かテレビを見ている人がいるのかもしれない。早くどかなければと思って焦る。
ここを越えれば目的地、というところに、あるはずのない小山ができている。高さは二階建ての家くらい。腐った肉で覆われている。肉はビニールで覆われているけれど、よじ登ろうとして取り付くと、ビニール越しでも臭気がひどい。押しの弱い彼女のほうが、肉の下はただの雪ですよ、と言った。ほんとうに、腐った肉の下はただの雪だった。
3人で小山によじ登る。
腐った肉に覆われた一面は崖のように垂直で登りづらかったのに、反対側は滑り台のようになだらかな傾斜になっている。そちらにはもう臭い肉もない、ただの雪。そこを一息に滑り降りてから、小山の上に色々と忘れ物をしてきたことに気づく。帰りは此処を通らないかもしれない。まだ上にいる彼女達に、持ってきてくれるように頼もうか。けれど夜なので大声を出すわけにもいかないし、そんなことを頼むのも何やら気が引ける。
迷っているうちに彼女達もこっちへ降りてきてしまいそうだ。
忘れてきたものは大したものではないのだけれど、取り戻せる場所にあるということがかえって諦める決心の邪魔をしている。
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2005.08.31.22:40 | by 架路 |
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