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何様嬢様蘭子様
宮尾登美子『一弦の琴』。
なんで最近宮尾登美子ばかり読んでいるかとゆーと、手持ちの有吉佐和子を読み終えてしまいそうで読み終えてしまいたくなくて、有吉読了の瞬間を少しでも先へ延ばそうと無駄な足掻きをしているからであります。宮尾登美子は著書が多いから引っ張ろうと思えばどこまででも引っ張れます!多作ブラボー!
さておき、『一弦の琴』。ドラマ化されたり映画化されたりしているらしいですけどそんなことは全然知らんのでおいといて、蘭子に爪の先ほどの感情移入もできなかった身としては、第三部で終わっちゃっても全然構わなかったヨ、宮尾さん…。というのがズバリ感想で…。(どーゆーんだ、ソレは。)
Read More... つーか視点が蘭子に移る第四部は、読むのがホンっ…トにツラかったですヨ!
「何様だ、この女ーッ!」と上昇する怒りのボルテージを「落ち着け自分、小説小説。何様嬢様蘭子様。」と宥めつつすかしつつ読み進んで、なんとか読了にこぎ着けたんですがー。
ホント、第四部だけでかなりストレス溜まりましたネ。
毎回宮尾本を読むたびにストレス溜めてる気がしますけど…。
これほど作中人物に腹を立てたの、宮尾本では初めてですヨ。
今まで「厭な女を書かせたら有吉佐和子がナムバー・ワン!」とココロの中に確立していた碑に向けて、ビシッと宮尾矢が突き刺さったとゆー、そんな感じな。重ねて『陽暉楼』から気になり始めた宮尾本特有の文章の息の長さが、更なるストレスとなって降りかかって来て参ったり…。
宮尾本はこれまでも『櫂』シリーズとか『きのね』とかそれなりに数を読んできたのに、ナゼ今になってそこに引っかかってしまったのかわからないッス。トホホホホ。
何年後かにもう一度コレを読んだ時、蘭子に腹を立てることなくすんなり第四部を読み進むことができたなら、きっとその時「自分は変わった!」と思うのだろうなぁ…と、先のことまで想像してしまう、要するに今の自分である限り、即ち同じ感想を持ち続けるであろう限りは、すすんでもう一度読みたいとは思わない、そんな微妙な一冊でした。
無意識の部分ではどうであれ、意識している部分では敬愛している人が実は自分を憎んでいたと気づいた瞬間、自分のうちにもその人に対する憎悪がどろどろ満ちてくるくだり。かつてのその人の如何なる行為も全て自分に敵意を持って成されたものと信じ込み、一種正当防衛のような大義を持って即座に相手に憎悪を抱き返す、そのくだり。
そこが何やら、わかるような、いや違うんだヨそこまであんたは被害者ぶらなくていいんだヨ、と言ってやりたいような、苦い感じの厭な感じの尻切れトンボなワタクシゴトの。ナニでした。(何)
あー。消耗した…。
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2005.09.03.01:18 | by 架路 |
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