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紫のシャツ
満員電車の中で、人の頭と頭と頭と頭の向こうに、ナツさんが座っているのが見えた。白地に紫のストライプのシャツを着て。いつもお洒落。自分が綺麗な顔だとゆーことを心得て、その顔を殺さない相応の格好をしている。苦手なタイプだ。
満員電車の中で、あるにも関わらず、颯爽と立ち上がってナツさんはシャツを脱ぐ。脱ぐとその下には紫のランニング。うをッ、さすがナツさんは下着もお洒落だ!透けないように同色だ!(…と、夢の中では感動したけど実際は透けるよな、紫のランニング。夢って不合理。)
Read More... てゆーかホントに紫のランニングってどうなの。
…覚めてからの疑問はさておき、紫に気をとられている間に私の降りる駅についていた。人をかきわけて降りようと急ぐ。ドアの前に置いてあった鞄を掴んだ時に、なぜかナツさんの脱いだシャツまで一緒に持ってきてしまう。あ、ナゼ。と思いつつしっかりと持ち帰る。
駅から家まで歩く道のりで、これはやっぱり「洗ってお返しします」つーことになるんだろうか…。そのまま返してもいいのだろうか…。いややっぱり勝手に持ってきちゃったんだから洗うべきか?と煩悶。
よし、やはし良識ある人間としてここは「洗ってお返し」だロウ!と、決断したところで、あーそれにしてもどっちみちこれ返すときナツさんと接触する羽目になってしまう。苦手なタイプだ。イヤだ。できれば関わりたくない。イヤだ。漢字で書くと「厭」な方だ。「嫌」より深刻度の高い(気がする)「厭」の方だ!と煩悶。
いつのまにか、お日様のような春のような明るいイエローに変わったシャツを、おもむろに嗅いでみる。犬のように。汗くさいだろうか。あんな綺麗な顔で、その綺麗な顔に相応の格好をしているナツさんでもやっぱりシャツは汗くさいのだろーか。それとも香水の匂いだろーか。
おそるおそる鼻に近づけて嗅いでみる。くんくんと。
汗の臭いはしない。
香水の匂いもしない。
ただ人の、生活の気配がした。
つくりものでもなく、滲み出たものでもなく。
自然にしみついた生活の気配がした。
顔に押し当てて、顔を埋めて、シャツを両腕で強く強く抱いていたらば、一瞬だけ、その中にナツさんの背中が浮かび上がった。
あの綺麗な顔の人の背中に頬を押し当てて、生きているヒトの気配を嗅いでいた。
莫迦な夢だった。
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2009.04.18.17:43 | by 架路 |
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