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揃った両足
旅先のホテルにいる。
ホテルとは名ばかりでワンルームマンションのような建物。私の部屋は一番上の三階だ。
廊下には常に人が行き交っていて騒々しいし歩きづらい。階段を上がっていった処にも、狭い廊下を二、三人の客が歩いていて厭になる。この街ではちょうど大きな行事がある時期だから、人が多いのは仕方がないけれどやっぱり鬱陶しい。
ホテルにこもっていてもやる事がないので、博物館に恐竜の骨を見に行くことにする。
Read More... 地下鉄に乗って博物館へと向かう。
駅へ着いた途端に学芸員が、やる気のなさそうな顔で私たちを案内していく。
学芸員さんはこんな事までしなければいけないのか、と意外に思いつつその人の後ろをついていく。
恐竜を見に来たはずなのに、そんなものどこにも置いていない。
死んだ人たちに襲われて逃げる。彼らに触れられると死んでしまう。
目の前で、ホテルから一緒だったおじいさんが捕まって死んでいく。
そのおじいさんと親しくも好きでもなかったけれど、あと少しで逃げ切れたのに捕まってしまったのは悔しいだろう。
私も死んだ人に触れられたけれど、何も起きない。隣で腰を抜かしていた学芸員が、座り込んで投げ出していた私の両足を見て、
アナタの足は、生まれた時は欠けていたのに、今は両方とも完全な形になっている
身体に奇跡の起こったアナタは、死人に触れられても死にません
と言い、聞いた私も、そう言えば私の足は欠けていたなぁ、と思い出す。
自分が特別なのだと自覚した途端、突然全てが面倒になる。
早くホテルに戻りたい。
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2005.10.01.01:25 | by 架路 |
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