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身重
私は妊娠したので結婚することになっている。
車に運ばれて式場に着くと、それまで一緒にいた友人達から引き離されて控え室に連れ込まれ、親戚や家族に囲まれる。誰も彼も私のことを怒っているようだ。式を挙げるのに花婿がいないのだから、みんなが怒るのも無理はない。
居心地の悪い思いをしながら椅子に座っていると、伯父が隣に腰掛けた。
そんな身体になるまでほうっておいたなんて信じられない、と伯父は言う。
この人も私を怒っているのだと感じて、厭になる。
Read More... 式場に飾る花がない、と誰かが言ったのを口実にその部屋を抜け出す。
すぐに式が始まるよ、と引き留められるのを無視して、エスカレーターでどんどん上へのぼっていく。上の階にはお店がたくさん詰まっていて、高級そうな花屋もあるけれど私には売ってくれない。
そんな格好で、もうすぐ式が始まるでしょう、早くお行きなさい、
と、そこでも叱られる。
今から戻ってももう時間を過ぎているけれど、そう言われては仕方ないので帰り道を探す。
業務用の裏階段から下りようとすると、大きな魚を捌こうとして失敗した板前さんが倒れているので通れない。
他の階段を探して歩き回っていると、とても長くて大きくて立派な階段に出る。いったい下まで何段あるのかもわからない。見下ろすと足がすくむほどに長い。そしてつやつやに磨き上げられた石でできている。
幅も広いので、手すりに掴まりながら降りようと思っても、壁に辿り着くまでがまた遠い。
やっと壁際に来て、そろそろと降り始めるけれども滑りやすくて安定が悪い。
お腹が大きいせいで身体のバランスもうまく取れない。ますます足元がおぼつかない。
数段降りただけで進むことも戻ることもできなくなってしまった。
どうしようかと気持ちだけは焦っていると、男の人が現れて動けない私の手を取ってくれる。
ひょろりと背ばかり無駄に高く、顔色も青白い陰気な感じのする外国人で、あまり関わりたくはない。けれど他に誰もいないので、彼に助けてもらって階段を下りていく。
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2005.01.14.14:50 | by 架路 |
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