« メグミさんの血 | メイン | どこで感動しろと言うのか »

マット

大きなマットがあるので、みんなで上に乗る。マットは地面からほんの数センチ浮き上がって進んでいく。
ご近所を一回りした後マットから降りて、踏切が開くのを待っていると、一緒にいた人たちが次々に「靴を忘れた」と引き返す。そう言えばマットに乗っていた時は靴を脱いでいたのだった。私も靴を取りに行ったものかな、でももう踏切が開いてしまいそうだな、靴を取りに行っている間に踏切が開いてしまったら困るな、そんなことを考えて迷っていると後ろで中学時代の先生が、「このみすぼらしい靴は君の靴だろう」と言う。
他人にみすぼらしいと言われる靴なんか持っていませんよ、と少し憤りながら差し出された靴を見てみると、確かに私の靴だった。けれど、埃まみれでしわしわで、確かに非常にみすぼらしい。私がマットに乗って少し離れていた間に、どうしてこんなに非道い状態になったものだろう。

とても悲しい気持ちになった。恥ずかしくも感じた。
それを受け取って踏切に向き直ると、通り過ぎたばかりの電車の最後尾が魚の尾のように反り返って、身体ぎりぎりのところをかすめていった。

2005.05.16.18:50 | by 架路 |
| トラックバック (0) | ユメ |

▽トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://vega.sakura.ne.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/12

△ Page Top