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死を宿す

腹を押されて、紫色の胎児の屍骸を、白いタイルの床に産み落す。
顔を半分もマスクで覆った医者は言う。
「もう何年間も、貴女の子宮の中で死んでいたのです」
死んだものが何年も前から私のなかに居た。
これ以上わかりやすい事実はないと思って、恐怖よりも先に頷いた。

私の中で死んでいたのだ。死んでいたものを、私は大事にかかえていたのだ。

2003.11.15.15:49 | by 架路 |
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