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M.ストロングの独壇場
WW1真っ最中のイギリスで、兄ちゃんのいる大隊1600人が独軍の罠に飛び込んで犬死にするのを防ぐため、攻撃中止の伝令を届けに走る〜走る〜オレ達〜。というシンプルなストーリーを「驚異のワンカット」に見える編集でお届けします!とゆー映画。
ストーリー的にはただソレだけ、ホントにただ走るだけ届けるだけ!!のシンプル作品なのですが(いやもうちょっと色々細々したエピソードがあっただろうよ!←あったけど忘れた)、だからこそこれは大画面で観たら迫力あっただろうなぁ、と思う場面がいくつかありました…。そして英国系俳優の有名どころの6割くらいがチラッ!チラッ!と顔を出す「○○を探せ!」的趣もある本作。ベネカンだのC.ファースだのM教授だのが走馬燈のように瞬時に映っては消え、また映っては消え…する中で輝いていたのは、足から登場したM.ストロングですね!人間味のある温厚な上官…こーゆー役がこの人はホントによく嵌まる…。
▼以下ネタバレ。
Read More... てゆーか死ぬんかい!2人で一緒に戦場を駆けて行くのかと思ったら、「兄ちゃんのために!」と先を急いでいたキミの方が比較的あっさりと死ぬんかい!後半G.マッケイの単独走行かーい!
まぁアレですね。オレ選んで欲しくなかったのに…などとやる気の無さ全開だったマッケイ君が、相方の死によってその遺志を継いで遮二無二走り出すのは観ていて「ぐすん」て感じでしたが。それを受け止めるベネカンのシニカルな感じとか、ベネカンの部下のおっさんの(ベネカンと比較したら相対的に)感謝してます届けてくれてアリガトウ!な感じとか、映画を観ている間中ずっと頭のなかにある「え、たった1600人…?」という拭えぬ違和感とか…。1600人って大戦中なら切り捨てられ得る数字じゃないんですかね…。1万6000人ならもう少し「走れ!ガンバ!」と思えますけど…。
お兄ちゃん役のR.マッデンが、「ロケットマン」のえげつない強欲マネージャーとは打って変わってただの素敵なお兄ちゃんで、最後にようやく画面に美しいモノが映ったなゆー感じでした。お兄ちゃんは生きていて良かったです。弟が命を賭けてお兄ちゃんも死んでましたでは哀しすぎる。
しかしこの作品のおっそろしいところは、映画の終わり=戦争の終わりではないとゆー事実を、決してわかりやすく語りはしないのだけれど観客にまざまざと感じさせるその作り方。明日もまた戦争は続いていくし、今日死ななかったマッケイ君もお兄ちゃんも他の懲りない面々も、明日はどうなるかわからない…。とゆー点につきます。この作品の評価に「戦争を美しく描きすぎている」みたいなのがあったようですが、いやこれ充分絶望的に描写してるんじゃね?敵兵に対してほんの僅かな情けをかけただけで弟くん死んじゃったし、「軍対軍」ではない「人対人」の状況になっても殺し合おうとする精神状態とか、至る所で土に還っていく兵士の死体とか。それでも本当に戦争を体験している人からしたら「まだまだこんなもんじゃねーぞ!」なのかもしれませんが。
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2022.09.07.19:52 | by 架路 |
| エイガ , ユーネク |