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| ごひゃくまんかいいちおくかい »
背中を向ければ見えなくなる
人を助けられないのなんていつものことだし、慣れているし、助けたくて助けられなかったことも、助けたいとも思わなくてその人が助かった時に拍子抜けしたり、手を尽くしたのに何も変えられなかったときも。
私はそれなりに平気だった。
ああああああ、と心で叫んだりしたけれどそれなりに平気だった。
私が何をしても言っても所詮は彼らの決断、彼女らの行動、最終手段は私が作るものではない、そうわかっていたから私は平気だった。
なのに君を救えないのは、とても苦痛に感じる。
私は何をするにも遠すぎるので、だからこそなのかもしれないけれど。
Read More... 君がうつむいて歩くのを見るのは厭だ。
君が眉根を寄せないのも歯を食いしばらないのも、悔しそうな素振りをしないのも悪態を吐かないのも、そういう潔い君の姿を見るのはとても厭だ。
弱音を、吐いて泣いて叫んでくずおれて、誰かにすがりついて、壁でも硝子でも蹴って殴って拳を叩きつけて、椅子でも卓袱台でも投げてひっくり返して、もっと弱くなって。
みっともなくなってよ。
見るに耐えなくて後ろから飛びついて制止させようとするくらいに、情けなくなって。
そうじゃないと怖いよ。
触れるとすっぱりと切れそうで怖いよ。
羽交い締めにしたくなるくらい、弱さを見せて。
誰も貴方を笑ったりしないし、誰も貴方に失望なんてしていない。誰もが落ちる氷の割れ目に落ち込んでいる貴方を引っ張り上げられないことを、誰もが苦しいと感じてる。
それだけだよ。
情けなくていいから、弱さを見せて。
貴方を抱きしめる理由を出して。
潔い背中はもうやめて。
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2004.04.18.22:50
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