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血を泳ぐ

出てきたら駄目じゃないか。
引っ込んでいてくれないと。

目の前の掌の、薄皮の一枚下に気がつくと何か埋め込まれていたような、それは細いような短いような、ガラスの針のような、きらりと光った。突然だったので、驚いた。
それから気がつけばそれは自分の掌で、いったいいつからこの針はこんなところに埋まっていたのだろうと、それに気づかなかったことに驚いた。
気がつかなければ痛みも感じずに済んだかもしれない。だけど眺めれば眺めるほどにきりきりと痛い。薄皮のたった一枚。だから切り開いて取り出してしまえばいい。その為の少しの痛みは仕方がない。けれども、その針は初めから私の中にその場所が用意されていた、そこに突き刺さってしかるべき針であるような気もして、おいそれと取り出すのも躊躇われて、けれど忘れていると自ずから思い出させるように身体の芯から訴えるように痛む。

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2005.02.13.17:46 | トラックバック (0) |

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