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天が降る
本屋に行った。
本棚に、「天の夕顔」が二冊並んでいるのを見て、うちにあるのはわかっているけれど触りたくて触りたくてしょーがなくなって、だけど触ったら開いてしまう、開いたら必ず泣く。私は泣く。
そう考えただけで涙が出た。
もう一年以上開いていない。
まだ一度も、きちんと読んでいない。
Read More... 家に帰ってから久しぶりに手にとって、繰って、読んでみた。
いつも一文字読んだだけでぼろぼろに泣いた一頁目で、涙は出なかった。
二頁目でも、何頁目でも涙は出なかった。
静かだった。
もう勝てたのかもしれない と思った。
嬉しくもない。歓びも感じない。
何か失ったのだと思った。
最後の頁で、少し泣いた。
ムリヤリだったかもしれない。
それでもこの本はやはり、生まれて初めて私がもう何も書かなくてもいいのだと思った、あの人のことを私がどのようにも綴らなくても、全てここにあるのだからもういいのだと思った、たった一冊であることに代わりなくて。
もしこの云年間書き続けてきた全ての文字が何に帰さなくても、ここにあるのだからいいのだと思えた、たった一冊で。
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2004.09.24.23:07
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