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「何故」。
なんだかなにをかいても白々しいよ。
私の上に言葉が膜を張っているようだよ。
その膜の外と内とにそれぞれ私がいるんだよ。
外側の私はその膜にいろいろ言葉を映してみるけれど、内側の私は表情動かさずに、膝を抱えて座っているだけ。円い目を開けて、外側の私を見ている。表情を変えずにただ見ている。
助けろ、早く助けろと言われているようで外側は焦る。
ど阿呆、的はずれ、どっかに失せろと言われるようで外側は迷う。
哀しいようで、誰もあのこを理解できていないようで、これまでもこの先もあのこはずっと独りで膝を抱えて、膜の内側に独りでいることが決められたただ一つの現実のようで、思わず手が止まる。
なにかひとつのただしい言葉。
たったひとつの鍵になる言葉。
Read More... それを見つけた時に、破けるのかはじけるのか、それとも何もおこらないのか、何も起こらずにただその膜はそこにあり続けるのか、外側の私にはわからない。
だけど内側の私が見えている。
内側の私からは、もっとよく外側の私が、その内面まで裏側まで、透けて見えている。
哀しいようで、まるで、膜のうちにひとりきりでいる自分のことではなく、外側で足掻いているそうやって足掻き続ける自分のことが、哀しいようで、なんだか、なんなのだか、よくわからなくなる。
円い目をあけて、見ている。
膝を抱えて座っている。
独りで。
何もかも、よく見えている。
外側の私が、膜に向かっているのは、いけないんじゃないの。
外側の私が、内側を向いているのは、危ないんじゃないの。
外側の私は、膜の内側のことよりも、自分のいる外側を向いていたほうが、いいんじゃないの。
なにが。
なんなのだか。
誰が刃物を手にしているのか。
誰かが好機をうかがっているのだか。
それとも誰も、誰も、自分の膜と向き合って精一杯。
誰も、外側なんて心配していない。
気にかけていない。
だから「思いがけない」と言う。
背中を向けていた外側から何か飛んでくる。
だから「思いもかけなかった」と言う。
ヘキレキだったと。
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2004.05.18.19:36
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