« フコウそうな長袖。 |
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ワレを。
我を失っていたの、私のほうだった。
理性をすっとばしていたの、ずっとずっと私だった。
泣き叫んで転がっていた。
そういうことをしたのはこれまでずっと私だった。
貴方は、その身体貫いた刃をかかえて立っていた。
身じろぎもしないで、正面向いて風を受けていた。
貴方は。
胸から背中へぐっさり、その身体貫いた刃をかかえて立っていた。
表情動かさず。
身じろぎもせず。
何も口にしなかった。
弱音も強がりも何も。
Read More... 大丈夫?とか、
歩けそう?とか。
何を聴いても叫んでも、強がりも言わなかった。
何も言わない身じろぎもしない、表情が、動かない、それなのにぼたぼた、ばたばた、紅い血だけが流れ出ていた。貴方の足元に落ちた。ばたばた、土埃舞い上げて、血が落ちてきた。
私はものすごく怖かった。
刃を受けたのは私じゃあないのに。
傷を抱えたのは私じゃあないのに。
見ているのはものすごく怖かった。
貴方を、見ちゃいられなかった。貴方を受け止めなかった。
余計な手を出して、ぐらぐら揺すぶって、貴方に刺さった刃はがくがく揺れて、貴方はますます血を流したよね。
それでもやっぱり弱音も強がりも言わないままで、見ている私は、半狂乱で、殴りつけたりしていた、泣いて泣いて泣いて泣いて挙げ句に声も枯れて、足元に丸まった。貴方から落ちてくる血だけ受けていた。
貴方を、
貫いていた刃が、背中から突き出していた刃が折れて、胸にも残っていた柄が折れて、
貴方は、
身体の中に刃を隠したままで、飄々として、また動き始めるのですか。
頬に受けていた血の滴、感じなくなって目を開けた私に、優しげに振り向いて、また動き始めるのですね。
私は。
私は?
何もできなかった、
それ以下だった、
貴方を見届けるだけの勇気にも挫けた、
一人で騒いで貴方を余分に傷つけた、
私は ?
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2004.04.22.23:58
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