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未葬体

誰かそのこを埋めてあげてください。
まだ息をしているけれど、私はそのこを殺すことができない。
醜い姿を曝さなくてすむように、誰かあのこを埋めてあげて。

いつか私がこの節制から解き放たれる日がきたらば、その時は一緒に語ろう。辿り着きたかった場所の景色も、走るアナタの頬に触れるはずだった風も、走っていったその場所で出逢うはずだった人のことも、明け方の夢でも思い出すような顔をして一緒に語ろう。
私はアナタにとどめをさせないよ。
アナタがシアワセだったことを知っている。
アナタがいつもシアワセそうで羨ましかったよ。私も一緒に同じ方向を向いて、同じ夢を語りたかった。でもできなかった。走らせないようにするので必死だった。そして何もしないうちにアナタは、倒れてしまった。私が探して引き続けた幻想のカードを目の当たりにして、衝撃で砕けてしまった。

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2005.10.27.20:51 | トラックバック (0) |

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