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命の発現
従姉が胎児を取り出した。
帝王切開だった。
彼女もつらいことばかりたくさんあったのだから、そろそろ誰にも邪魔されずにシアワセの太陽の下進んで行ってほしい。
今はそう思う。
おじいちゃん、ごめんなさい。
親にただ一つ誓えることは、犯罪者にはならないということだけです。殺さなかった、それだけが自分の矜持でした。殺さなかった。私はおかしくなんかない。私は何回殴ったか、何で殴ったか、肌の下の青黒い血の色も、ちゃんと覚えてる。
私はおかしくなんかなっていなかった。
殺さなかったのが矜持だった。
Read More... 息をして生まれることのできなかった姉さんだか兄さんだか、ごめんなさい。あなたと生きたかった。あなたが居てくれたらば良かった。聞いてほしいことがたくさんあるのに、なぜあなたは私が存在すらしない以前に母から流れて消えてしまったのです。姉さん。兄さん。
愛したことがない。
愛したことがないでしょう、「あなたは愛したことがないでしょう」、愛されたこともないでしょう、肯え肯え肯え、「あなたの価値貶めないためだけに赦してあげなさいと」「そんな程度のことだったら切ってしまったらいいじゃないですか」、肯って、愛したことはない、赦してあげなさい、切ってしまいなさい、肯って、貴方が?
あの人は?
何もない。何もないところから生じたのになぜいつまでも消えない。
名前さま。
貴方に出逢わずにここまで来たら、
私は貴方のことだって決して愛したなんて思ったことはなかったけれども。
私さま。
あなたがいくらでも傷つけばいい。
あなたが私の代わりにすべての傷を被ればいい。
私があなたと肩寄せて泣いたり、あなたが私の一番つらい時に側にいてくれたり、そういうのは。
そういうのはあんまり普通じゃない。
姉さん、兄さん、じいちゃん、今日取り出された猿のような胎児さま。
此処は決して在って有意義な場所ではありません。
けれども貴方にそうあり得たかもしれなかった。そうであったかもしれなかった。そう成り得るかもしれない。
成り得るのかもしれない。
だから頑張って。
貴方は頑張ってみて。
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2005.02.16.20:41
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