恋ヒシカルベキ

今日僕は教えられたのだ。
期待をして裏切られる。そこで、相手に見切りをつけてしまったらば楽だ。やっぱり、信頼する価値のない奴なんだわ、と思ってしまえば楽だ。相手に対する信頼を捨ててしまったら楽なのだ。だけど。

信頼抱き続ける。決して見限らない。えぐられた傷にますます深く、自分で刃突き立て続けるようなものだけど、自分の一度信じようと決めた決心、裏切ってはいけないのだ。

そうしたらば一生誰も信じられなくなってしまうのだって。

昨日僕は思ったのだ。
ナゼ僕は君の心を芯からがっくがくに揺るがすような言葉つづれないのかと。ナゼ僕は誰の心も芯から土砂崩れの如く流れさす言葉つづれないのかと。

今日僕は教えられた、ことは。
言葉がなくとも喜び悲しみ哀しみ寂しさ、ちゃんと伝わってしまうのだと。気の利いた言葉を繰り出そうと考え巡らすことほどくだらないことはない、そうして考えている間にさっさと君に触れた方がよほど簡単でよほど早い、って。ぎう、と抱きしめれば良かったのね。ちゃんと伝わったのね。

今更遅いけれども、こんな何年も経ってしまって今更。

昔書いたものを読み直して思う。
私はゼロだけど、マイナスの方に振り切っているゼロだけど。貴方もゼロなのだ、プラスの方に振り切っているゼロなのだ。その二つのゼロって、いったいどれくらいお互いから離れているのだろう、それとも、どれくらい重なっているのだろう、お互いの輪郭1ミリもはみ出さないほどに重なっているのだろう。

答えがでないのは同じで、それでもそれほど不満ではなくて。

期待はしない。
外れるのも反れるのも厭だから、期待はしない。
遅いってば、もう何年も。