2004 / 片鱗
2004年1月
貴方を見る度に 次に貴方に逢う為に
僕はそれだけの時間を旅した。
2004年2月
真実が一度でも僕の近くにあったことはない
僕の前にも後ろにも真実はあったことがない
2004年3月
静けさの印をきる 鬼女の重しをかぶる
刀の冷たいこと 刃の怖ろしいこと
2004年4月
けれど半身は半身に敗れる
自身を打ち伏せることができず、切っ先で己が胸を突く
2004年5月
血を流して。枯れるまで血を流して。
そうして貴方を明け渡して。
2004年6月
そんなまわりくどい 間接的な かすかな
つながりでとどまりたい
2004年7月
あのどろどろの灰色の頭たち、べらべらと端からおちる手足たち、
その中から現れる幾万の君、腐蝕の裡より現れる幾万の君よ、
2004年8月
誰のために 此処に立つ 誰かが
見落としてくれる
2004年10月
たくさんの水彩と水彩と水彩
シミだらけの空白 虚構 焼尽
2004年11月
できるならば蜜のように 望まれるならば。
けれど為さず。故に烈風の如く。
2004年12月
あのひとについて行ってしまった僕を知りませんか 私を
見かけませんでしたか