2001 / 片鱗
2001年1月
しろいたまごのおもてに
ちょうこくとうでするりと刻んだ 名前
2001年2月
遠ざかるばかりで戻らない汽車
警笛 そしてお別れ
2001年3月
無性に泣きたく 原因を探すけれど何もなく
躍起になっている 春
2001年4月
ほんとうに隠したいならね
隠してることも隠さなくちゃ駄目なんだよ
2001年5月
墓を暴いてあの憎らしい女の首を切り落として、
身体を切り開いて虫を詰めてやるんだ ぎゅうぎゅうに
2001年6月
僕は此の場所を放棄しなければいけなくなる
目指すべきもののまだそれとわからぬうちに
2001年7月
泣くことは諦めた
もうすこしあなたを待ってみる。
2001年8月
もしも僕の腕が言葉より先に死んだらば
僕の言葉は骨の髄に焼けきれず、湿って残るだろう
2001年9月
偽物の鏡の多面体が惑わせるものだから
僕たちは真実の光源を見過ごしてしまう
2001年10月
貴方が私の見ていないところで私に優しかったこと
私は知っています
2001年11月
とても苦しい
刺さった硝子ナイフが、しみじみと凍る
2001年12月
そうしたら僕の中の君の意味もなくなって
そうしたら