お話の夜
そうだね、そろそろいいかもしれないね
そう言って立ち上がると椅子が軋んで、
ぎぎぎ。
じゃあ明日の朝、迎えに来ます。
屹度ね。小指をとってきつく、きつく、
交わした約束事。
くつがえしたらば、燃える血となり、降りかかれ。
呪いの秘め言。
恋ゆえに、恋ゆえの、幼い頃の信心の、仇。
きっと迎えにきてくださるわね。
あの人が、嘘を言うはずがない。
どうして。
私のことが嫌いなの?
きっと母様は、
そんなことはいいんだよ、って
そう仰るでしょう。
だけどよくないの。
何一つ、今のままではよく運ばないのに。
どうして笑っていられるの?
本当に迎えに来てくださるのなら、星が見える。
来てくださらなかったら、火の粉の雨が降る。
空が割れてゆく。
赤い宇宙が、裂け目から顔を出す。
怖い。
そう、それもいいかもしれないね。
[2001/1/19 (Fri)]
| 2001 / 習作 |