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*******へ第二章

 どうしてそんなにねじを巻くの、貴方は、
 どうしてそこまで巻くことがあるの、どうして。

 貴方は私の思考を止められない。
 私は私の思考を止められない。
 (それでどうしたいの?)

 遠くの方で門が閉まりかける、私たちあの時本当に走るべきだったのね。
 ねえ、そうすべきだったのね。
 なんだかめんどうで、何もかもが他愛なくて、こちらに残るのも少し面白い、そんな気持ちで笑ってただけだったけど、立ち止まって笑ってただけだったけど。
 私たち本当に走るべきだったわね。

 だってここはとても暗い。
 暗い。寒い。他に誰もいない。
 (じゃあさっき動いたのは何?)

 ここはとても暗い。

 もうねじを巻くのはやめてよ。
 きりきり、きりきりって、その音は耳に響くのよ。
 頭の中を飛び回って、骨が砕けて痛いのよ。
 ねじを巻くのをやめてよ。
 ひとつ廻すたび、皮膚に喰い込んで痛いのよ。
 だってそうでしょ。
 (此処に開いてた私の傷は?)

 野良犬なんて吠えさせておきなよ。
 彼らは私の、私は私の。
 思考を止められない。

 貴方、もうすこし強くおなりなさい、ねえ。
 私を庇って立てるくらいに、強くおなりなさいよ、ほら。

 ぜんまいはもう離していいからさ。

[2002/1/11 (Fri)]

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