ワイヤハ
そんなふうにたくさん釣り上げてどうするの、貴方。
本当に料理できるあてがあるの、本当に。
次から次へと砂浜におちる、ぶるぶると跳ねる、ばしばしと暴れる、口をひらく、まなざしをあげる、貴方にすがる、腕をのばして、やがて動かなくなる。
女の諸々、瞳すら得られずに砂の上で朽ち尽くす女の諸々。
水から揚げられた、砂に降ろされた。
途端に波打ち際の泥砂に潜り込み、身体の中を造り替えて私は息をした。
身体の中を造り替えて私は息をした。
釣り上げた獲物も見ずに水平線の高さに顎を乗せ続けている貴方のことを見つめ続けてきた。
何がかかるのを待っているの、貴方。
ほんとうにそれが見えているの。
ほんとうにそれはここに生きているの。
何を待っているの。
釣り上げて腐らせた女の諸々の中で立ちつくして、貴方は。
そんな諸々の腐り果てる中で息を殺して身体の中を造り替えて、私は。
[2004/1/6 (Tue)]
| 2004 / 習作 |