2002年12月
■ ...2002年12月2日(月)
探しても探しても探しても、
指のあたるは灰ばかり
爪にくいいる冷たさもなし
■ ...2002年12月2日(月)
初めを取り消すのもアリ?
ありなら、自分に関わりのないところまで一気に消すよ
さくさくっと指のさきでこすってしまうよ
残り滓なんて、ふっと吹いて捨てるよ。
捨てるよ
■ ...2002年12月2日(月)
それは貴方の子宮
羊水まきちらして闇から転げ出る
■ ...2002年12月2日(月)
君の周りでばたばたこどもが死ぬのが見えたんだ
そのこどもは僕のだよ
僕がずっと大切に育ててきたんだから
君の周りでばたばた死んでいった
目の開かないこどもらは 僕のだよ
■ ...2002年12月2日(月)
綺麗ね
さくら
■ ...2002年12月2日(月)
こわかった
白状すれば 満足なのか
■ 黒...2002年12月3日(火)
慌てて追いかけた
もう誰も見えない
道の上はまっしろに
闇が光っているだけだった
■ Sathe me...2002年12月4日(水)
僕は君の御子だ
貴い尊いと崇め奉れ
僕は君の御子だ
■ 花一...2002年12月4日(水)
あかいこつぶの雪がふる しんしんと
しんしんと墜つ 菊の節句に髪を切る
刀の鞘に髪を納めて
椿ぼとぼと 山茶花ささら
刀は彼の胴のうち
菊の節句に
■ 大丈夫。...2002年12月5日(木)
私はいつだって貴女の力になりたくて必死だよ。
■ 砂浜にて...2002年12月6日(金)
冬でも白い筒抜けの服を着て裾なびかせ
砂浜に立つのだ 裸足で。
猫のはえそこないのような細い髪なびかせ
うすく細く青いリボンを風にとばすのだ
指先からするするそちらに 引かれるようにとばすのだ
寒くても無理矢理にわらう。
波の照り返しに眼をやられる。
そうやって瞼の合間から海を見たらば 光芒の向こう側に
見え隠れする尊い貌がある
■ 待つ...2002年12月6日(金)
君に逢わないと決めたこの生にもう意味はない
■ 包括...2002年12月7日(土)
大人になるにつれつれ
歳を重ねるにつれつれ
息をするのがだんだん辛くなるね
■ えてぃっくす...2002年12月7日(土)
最終ライン
そこにあるのは君の本音だよ
■ 可視...2002年12月7日(土)
少し遠くに行けと言われる
三歩 遠ざかる
少し近くに来いと言われて
踵を返して逃げ出した
そんな恋だった
■ 銀杏・落葉...2002年12月7日(土)
踏んづけて踏んづけて踏んづけて踏みしだいて
そんなふうにできたらよい
そんなふうに粉々にして吹いて飛ばしてしまえたらよい
二度と元通りにならないことだけは同じなのだが。
■ 幽...2002年12月7日(土)
君のくびとくびはまだ喧嘩をしているのか!
■ 「フランスも見ずに」...2002年12月7日(土)
帰りたい
戻りたい
帰りたい
振り返らない
■ しんじつの...2002年12月8日(日)
恋ということをわかっていない
生についてもよく知っていない
離れて存在することの意味は どう
かけちがえて見下ろし 見上げることの意味は どう?
■ 雨...2002年12月8日(日)
頼むから僕を聞いてくれ
僕を
僕を聞いてくれ 君は!
■ 本心を...2002年12月9日(月)
自分の墓を暴く覚悟がないのなら
最初から埋めてしまったりしては
駄目
■ 彫刻刀で一本線...2002年12月9日(月)
その人にはどくろの入れ墨があります
顔を見たらばすぐにかれと知れます
捕まえてください
捕まえて
完成させるのだから 私は
その入れ墨を完成させるのだから
■ オア。...2002年12月10日(火)
それともすべて、間違ってきた?
間違えて綴った?
間違えて君を刺して、間違えて僕を救った
■ 誰か...2002年12月10日(火)
あのひとを助けてやって
誰かあのひとを救ってください
私は代償に指の誓いを捧げます
■ 魚喩...2002年12月12日(火)
おかにあがらず
なみのまにまより
みつめるだけのけれどとうとい
こひをした
そのこひをわすれじとゆく
そのこひをわすれじと
生く
■ 土...2002年12月12日(火)
下の方に隠れていてよ
きっと迎えに行くから
骨ばかりになるころに
きっと迎えに行くから。
■ 牙をむいた林檎...2002年12月12日(火)
ばばあが嗤って地蔵が踊る
月が沈むと白蛇が
そろり
蝶が墜ちると女郎は
ことり
首がとぶ猫
気狂いの徒
みんなみんな砂になってきえてしまった、今夜
■ 冬木...2002年12月12日(火)
さりされ
私を殺して
■ 序論...2002年12月14日(土)
辻占の女が陰気な顔で、呼び止める。
にいさんにいさん、身体の半分ちぎれたこどもが、背中にいるよ
いいんだ 僕は。好きでそいつを背負ってるんだ。
僕は答えた。
■ ルーン...2002年12月16日(月)
傷つけたくないし傷つきたくもないのに僕も
君も
眠ることすら惜しんで刃を研いでいる
どうして
手当たり次第に砥石を拾って
火花を散らせて
どうして
■ 御縁...2002年12月16日(月)
眠ろう眠りたい
そろそろいい加減
■ 蟻と大蛇...2002年12月16日(月)
寝台の中には商人が死んでいた
左胸にひからびた蛇が食い付いたまま
やはり死んでいた
白蛇だよ
彼を守りきれずに死んだのだ
そう言った
僕の隣りの男が言った
■ 壁を...2002年12月18日(水)
僕ら強くなりたかった
背中合わせでも腕を四本がっちり組んで
どこから刺されても死ぬときは一緒なのだと
剥がされたりしないよう強くなりたかった
なのに一本の矢で砕け散って、粉々でばらばらで、
これ以上どうなることもできない
■ R - forever period...2002年12月18日(水)
人を傷つけては 還り
自己を失っては 還り
貴方を傷つけても
やはり還る
思いきり遠ざかって二度と還らぬつもりで歩き続けて
いつのまにかまた還る
■ ヒール...2002年12月18日(水)
割り切れやしない、そんなふうに
ざっぱりと後ろにかなぐり捨てて、
二度と振り向かずにいるなんてわからない
好きだとも嫌いとも恋だとも宿運だとも
言葉で言い表し得る感情では既にない
感情ではない
■ 春と...2002年12月19日(木)
かなしみ は
僕が気づくのが遅すぎたせいで雪解け道の中でどろどろの
ぐちゃぐちゃの
ますますよごれてかなしみになつて
僕が気づくのが遅すぎたせいで
■ 返礼...2002年12月21日(土)
僕じゃなくて、君の強さだ。
君自身の強さがそれを言うのだ。
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