2002年11月
■ 2002年11月1日(金)
自分には言いたくないけれど人には言ってあげたい。
「正解はない」。
■ 2002年11月1日(金)
僕に、僕にだまされないでくれ、僕に。
僕は
僕は一度だって他人を心配なんてしたりしない、しなかった。
しなかった。
これからだってきっとしない。
僕が君を心配してるようなことを ことをいってもそれは
君のことじゃない。
それは僕の中の君のことで、君自身のことじゃない。
僕に、だまされないでくれ。
祈る。
僕の中の嘘を君が見抜けるように。
■ 2002年11月4日(月)
さがして
あなたの
ひとりぼっちを
■ 2002年11月30日(土)
忘れ物は雪に覆われて
僕の道は風に浚われて
ぞろぞろと往く黒い背中が見えるだけ
僕は見送りながら
石灯籠に水をかける
念仏を唱えながら冬の厚い黒い雲の下で
石灯籠にすくっては水をかける
■ 2002年11月30日(土)
蒼いのだとおもったら君は灰色だった
モノクロよりもぼやけているのかとおもったら
水晶よりも澄んで見通せた
あんまりに透き通って
しまいには映らなくなった
見えなくなった
■ 2002年11月30日(土)
最期の言葉を聞いたら駆けてきて。
まっすぐにここへ来て。
■ 2002年11月30日(土)
指に触れた 冷たかった
■ 2002年11月30日(土)
貴方の眸に映る
ものが多すぎて私に気づかないのなら、壊してもいいのです
貴方の
眸に映るものが眩しすぎて私を阻むのならば、
塗り込めてもいい
目蓋ごと
■ 2002年11月30日(土)
とぶことにくたびれた虫
けすことにくたびれた灰
みおろすのを飽きた 空
空の溜息 風の溜息
焦がれ 慕う
■ 2002年11月30日(土)
誰もが生き別れの恋人だ
■ 2002年11月30日(土)
膚恋しく
膚憎く
目を開いては人を捕らえて
膚なぞる
膚絞める
腕のばしては人をほうって
| 2002 / 片鱗 |