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2002年10月

■ 2002年10月1日(火)

僕は生き残ることはできない

■ 2002年10月1日(火)

Not the order you have to follow�

but the decision you have to make.

■ 2002年10月1日(火)

貴方の愛するものを私も愛しましょうし

貴方の畏れるものを私が救います

貴方が憎いと思うなら

私はやはり愛します

■ 2002年10月4日(金)

すきなものをすきという 権利は僕にある

すきなものをたずさえる 権利が僕にない


きもちは それでも抱いてゆける

■ 2002年10月5日(土)

所詮きみは きみの本性をとめられないんだよ

とめる必要だってないじゃないか

そうやって息をすればいいじゃないか


誰も風のように流れるべきだ

■ 2002年10月6日(日)

ひとを愛しひとを嘆きひとを伐り

ひとを繋ぎひとを保ちひとを守り

ひとを想う君を想い息を細く吐きながら

僕は死んでゆく

僕は一日ずつ死んでゆく

■ 2002年10月8日(火)

ユリ 凛々として

頬を塗り

銀を捨て

土を匂えば一つの恋を忘れ去り

凛々として

■ 2002年10月9日(水)

君の綴る文章は美しくて 僕は君にはかなわないよ

君の映す風景は清として 僕は風を奪われた心地になる

君の 身体から言葉をひとつのこらず落としたら

僕に正直になってほしい

君の心から思考をざっくりと拭えたら

僕に正直になってほしい

■ 2002年10月11日(金)

胸に埋め込んでしまうほどにきつく抱いて

生をかけてまで貫き続けるというのならば

たとえそれが殺意でも、眩しく人々の目を射るでしょう

■ 2002年10月11日(金)

壱秒と壱秒のはざまにぽっかりと墜ちて


 誰にもばれやしないよ


そんなささやきを聴いて

私たちはただお互いが先に眠ることを怖がっていただけだった

■ 2002年10月11日(金)

バクダンがドレスの裾を引きずって真っ逆さま

ひらひら蒼いヴェールがなびく 真っ逆さま

雲がごうごう頬をかすめる 真っ逆さま


君をまっぷたつに裂いて地球に突き刺さる


ぎぎり! って。

■ 2002年10月11日(金)

紅い透明が僕はだいすき

紅い不透明 キライ

■ 2002年10月11日(金)

随分とおくまで走るんですね と女は言った

「とおくまで」

瓢箪のような眉毛を白い額にくい込ませながら

平仮名でそう言った

空に白いパラソルが上がっていって

僕はなんとなく

カンダタのことを考えた

■ 2002年10月11日(金)

重金属のこすれあう音。ぎいぎい。

ばちばち火花、

惑星が衝突して光だらけになる眸、

始まりも終わりもしない、宇宙の中の君。

■ 2002年10月11日(金)

絵の具をぐちゃぐちゃ混ぜ合わせて美しい

色を作ることに必死になっていたけれど、僕は

絵を描くことを忘れていたんだった

■ 2002年10月14日(月)

心の中の黒いぽつんは大きくなったり小さくなったり

している

鼓動と一緒に蠢いている

■ 2002年10月14日(月)

桟橋をどこまでも歩くのなら覚悟がないと

這い上がってくる魂を蹴落とす覚悟をもたないと

君は海を渡りきれない

■ 2002年10月18日(金)

僕は

このさきもっと強くなる、

もっともっと強くなって、

鋼が飛んできても

くにゃりと曲がってやり過ごせるくらいに。

僕は

そのかわり君を失くすよ。

ここに置いてゆくよ。

■ 2002年10月18日(金)

忘れちまいな砕けちまいなって

もう一声

叫んでみてみたらば

散って

散り敷かれて

溶けて

溶けてみて

みたらば

■ 2002年10月19日(土)

私は貴方にシアワセを祈らないよ

どんな死でも別離でもふりかかればよいと思う

どんな痛みでも喪失でも味わえばよいと思う

むしろそうしてほしい

そうなってざまあみろと笑う

それからそれから

少しずつ立ち上がっていくのを見て

少しずつ上向きになるのを見て

失った大切なものを忘れていくのを見て

貴方が強く一歩を踏み込むのを見て

私はシアワセを祈らないけれど

貴方が強く歩くことができるのならば

死に様すらもみつめるだけみつめていたいと

それを願うかもしれない

貴方にシアワセは祈らないけれど。

■ 2002年10月19日(土)

ちがうもん。


そんなんじゃない。


何もわかってない。

■ 2002年10月19日(土)

鬼のなかに頼綱がいないし狂女のなかに母性がないって

ほんとうに言えるかい、

何も見えないって噂を信じるかい


白は白いまま、黒は黒いだけ、

眸に太陽は映らないって

信じたままで瞼の上に指紋をつけても、それで後悔はしないか

■ 2002年10月21日(月)

夢も欺けないほどに、君は彼を信じていない

■ 2002年10月21日(月)

抱きしめあったままで私達は、そうっとそうっと腕を離さないと

かたくしがみついたままで僕達は、互いの腕から抜け出さないと

この日を静寂のままに終わらせないと二度ともとのように戻れない


わたしには愛がないから弱みもないの


だと

君は言う。

■ 2002年10月22日(火)

過去の生き残りばかり追い求めて随分と怠慢だ

過去の死に損ないばかり冷蔵庫の中にしまいこんで

腐ったり しませんか

どうしますか そのドロドロを

■ 2002年10月22日(火)

貴方の生き方は貴方がシロクロつけるべきことで

私は貴方を定義しません。

■ 2002年10月24日(木)

無理に忘れない

無理に諦めない

無理に赦さない


憎んだり

笑ったり

決断を挑んだり

しない

■ 2002年10月25日(金)

空の上からりんどうの花をみると地上は

まるで飾り皿のように蒼いざわざわが揺れる

泣いて御覧

泣いて御覧

地上が沈んで景色はもっと美しくなるから

泣いて御覧

■ 2002年10月25日(金)

北の窓からまっくろさんがくるので

僕らは西の窓から逃げよう

東の窓から新しいことがくるから

僕らは南の窓を塞いで

家を焼き倒そう

■ 2002年10月25日(金)

塀を作るのに忙しく

塀を壊すのに忙しく

境界を競って大喧嘩

内側で

何が起ころうと

■ 2002年10月25日(金)

失くすことはできない

忘れても失くすことはできない

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