Louix-Louix / ルイルイ
こんにちは、ルイルイ。
お元気ですか、ルイルイ。
僕は嘘が下手になりました、ルイルイ。
今日も橋を見上げて笑います。
今も貴方を唱えます。
こんにちは、ルイルイ。
頭はまだ割れてしまいませんか、ルイルイ。
迎えたお嬢さんは育ちましたか。
僕は皮ばかりに痩せ細りました、ルイルイ。
骨は今でも貴方の枕の下に眠ります。
どうですか、ルイルイ。
君の右肩に乗った頭はどうしていますか。
逆立ちしても落ちやがらない、そう罵った頭はどうですか。
ルイルイ、僕は今でも君の耳ばかり見つめています。
ルイルイ、たまには空もいいですよ。
こんにちはルイルイ。
烏の種は育ちましたか。
こんにちはルイルイ。
僕を今でも覚えていますか。
どうですかルイルイ。
貴方は今でも嗤ったりするんですか。
夜が更けて、ルイルイ、あの水門くぐって忍び込んで来たのは誰でした、ルイルイ、世が老けて、刺客を送ってきたのは誰でした、ルイルイ、此処は、此の世は、
見晴らしが良いのです、僕のいるところからは何もかもが見える、ルイルイ、君の高笑いがまだ耳に届く、ルイルイ、僕のいるところからは何もかもが、見える、
ルイルイ、
誰もが僕を、僕と決して目を合わせないようにしながら見上げてゆく、誰もが、怖ろしげに、そして嘲るように、口元にいやらしい薄笑い、誰もが僕を、見上げてゆく、決して目を合わせずに、ルイルイ。
ルイルイ、こんにちはルイルイ、
風はそろそろ西へ向かいます、ルイルイ、
貴方の帆影も変わり始める、ルイルイ、
ルイルイ、どうですかルイルイ、
僕のいるところは斯様に高いので、風向きの変化は鼻先で知れてしまう、ルイルイ、貴方の船がゆっくりと背を向けるのが、ここからは見える、ルイルイ。
こんにちはルイルイ。
お元気ですかルイルイ。
僕は今でも貴方を見つめている。
貴方の船が、奈落へと真っ逆さま、
ルイルイ、
吸い込まれてゆくのが、ここからはよく見える。
[2004/4/26]
| 2004 / AtoZ |