恋ヒシカルベキ

私は自分の手でアナタを殺したくなかったのだと思う。
卑怯だと思う。

羨ましかった。
綺麗だった。
シアワセそうだった。

こわかった。
傷つくのが一番こわかった。
負けるのが厭だった。
自分をこれ以上悔いるのが厭だった。
ならば動かないでいるしかない。
動かないでいるしかないじゃないか。

アナタを幻想のカードで打ち崩してけれど惨めで哀しくて息の根は止められずにいて、それでもこれはアナタにとって一番血の量は少なくて済んだのだと思って、本当は綺麗だったアナタを一秒でも長く見ていたかったからアナタの泥にも血にもまみれてここに倒れているのは気の毒で、誰か埋めてくれたらばいいと思う。
誰か優しい人がアナタを埋めてくれたらばいい。

いつの日かできるなら一緒に走ろう。
私がこの節制から解き放たれる日が来たら、その日こそ一緒に走ろう。
だから行くね。
今はもうこれで行くよ。

いつか私が私から自由になって、そうしたらアナタを迎えに来るよ。
だから今はさよなら。