恋ヒシカルベキ

そんなものを畏れた。

手にする前から、手にした後のことを考えて畏れた。

だから僕らは陣を作って背を向け合って、背中だけ信用した、そうして欲した胸には刃突き通すことしかできなかった。

信頼を与えられて、裏切りの潜在を否定できなかった。

自分にむけられた歩みの軌跡は、自分からの退路の確保でもあった。

だから畏れた。

僕らは背を向けて、背中合わせのまま、それが正しい在り方なのだと思って。背中合わせのままで、正面に刃突き立てて、

目の前の貴方は私の別の身体だった。
貴方に切っ先触れた途端に私から血が流れた。
貴方を貫いた刃は私も貫いて、背中合わせの君をも奪った。

いつも夢をみる。
目覚めて何も覚えていない。
けれどシアワセな夢だった感覚だけが残っている。
僕らは。