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標本

喉の奥に、こんがらかった黒い糸のように、ほとばしりたがるものと、ひきとどめようとするものと、そのそれぞれに加勢したがるものと、そんな様を傍観したがるものと、が、居る。

明け方に必ず一度目を覚ましては、その名を想う。

喉の奥の黒々とした糸の塊を、冷たく見つめる。
いつかそれを飲み込んでしまうことを知っている。
それを待つしかない。今は待つしかない。今までにそうやって飲み込んできた糸の塊で、身体の中はぎゅうぎゅうになっている。

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2005.10.26.14:31 | トラックバック (0) |

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