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2月の救世主、7月の
死刑執行人。
ナゼ。
色々な事に対するナゼがある。
それは名前さまの時と同じだ。
違うのは答えがあるということ。大方の答えが出そろっている。
私はそれを知っている。だから現実に救いようがない。
神様のくれたハナムケだったのだと、気持ちを切り替えるふりをしてみても、アラタさんが二度も三度も真横を歩いた時の風すら感じない静寂の中の自分の、ただ厭だ、という感覚が、生々しく甦る。
神様のくれたハナムケだったのだ。
そこにもうすぐ属さなくなる私の、属さなくなれば今度こそこんな偶然すら期待しない、一切の関わりがなくなる私への、偶然は神様がくれたハナムケだったのだ。
とだけ考えると笑える。
自分のあの時の、厭な気持ちが甦る。
笑えない。
Read More... なぜ厭だったのかを考える。
自分の過去が目の前に生きて立ったからだ。
どういう過去なのか。
アラタさんは仮にも私にとって、私を肯定した他者の象徴だったはずなのに、その肯定と再び眸をかち合わせることがナゼ「厭」だったのか。私が過去においてアラタさんに付随した意味付けは悪いものではなかったはず。2月のあの同じ日に、全く無警戒な方向から飛んできた針を自分に突き立てたままでいた私に、その針を抜かせたのはアラタさんだった。あの人は私が否定を受けた直後に私を肯った。
あの人はあの時の私には救世主だった。
欺瞞でも、私だけが為し得た「解釈」でも、それはそれで良かったんです。
あの人は私を「肯った」。
何度も言いますが、それがそんなに悪いことでしたか。
なぜ、アラタさんが今になって其処に居なければいけなかったんですか。
私はあの人の顔を見た時に、本当にただひたすらに厭だった。
何かの間違いだと思った。
厭だった。
なぜか。
あの人が私の中で、消化された存在ではなかったから。
私はあの人を過去の胃袋で消化したわけじゃなかった。ただ蓋をして放っておいただけ。箱に詰めて蓋をしてそれに「存在肯定」と私にしかわからない文字の名前をつけて、他のたくさんの似たようなものたちと一緒に、放っておいただけ。だったから。
だからそれを突きつけられた時に、ギョッとしたのです。見たくないものを見て、忘れようとしたどころか意識すらしないようにしていたものを目の前に突きつけられて。まるで8月31日に発掘したたくさんの手つかずの夏期休暇課題のような。
私は厭だった。
なんで此処に居るのかと神様に問うた。他に誰も問うべき相手がいなかったから。
アラタさんを私と同じ室内に送り込んだあらゆる要素を憎んだ。自分も含めて。
かけがえのない二秒の肯定、は、一秒の空白、に取って代わられる。
何もない一秒の、長くも短くもない時間のひと刻み、秒針のたったひと刻み。
阿呆な自分が始まる。
もう誰も肯定しない阿呆なだけの自分に対する、自分からの否定が始まって膨れてどんどん繋がって、一刻も頭を離れなくなる。
ナゼ?
自分に対するほんのひとつまみの、自信を得ようとしたのはそんなにいけない事だっただろうか。その代償としてその名残全て奪われる級の自己否定を叩きつけられるほど。
ナゼ?
欺瞞であっても幻想であっても、それをそれとして受け入れながら自分をうまく誤魔化して、破綻しないで私はうまくやっていたのに。あんなふうにアラタさんと会わなければ、破綻なんて決してしなかったのに。
なぜ、私の一番大事な記憶を塗り替えるのです。綺麗に漆喰で塗り立てて乾くのにそれなりの時間を要して、誰にもその下に何が埋まっているかわかるはずがない、これは私だけの大事な壁、と思っている上に狙い定めて黒ペンキぶちまけるような真似をするのです。
神様、聞いてます?
運命さん、アナタも。
どうせこの先も二度と会うことはない人なのだから、甘めのカードでも放ってくれればいいんです。そうすればせめて気持ちよく忘れていけるというものなのに、ナゼ私が刺されて斬られて縛られて倒れ伏しているカードばかりをくださるのです。
趣味の悪いホラー映画でも見たと思えばいいんだわ、とそこでまた気持ち切り替えて少し笑える。意識して思い出さないようにしていても、やっぱりアラタさんが行ったり来たりするときの、あの厭な感じが甦る。笑えない。
仕方がないので、右手で髪の毛を懸命に撫でる。額を隠す。両目を隠す。泣くんじゃないよ、と言い聞かせる。それでもあの厭な感じが、涙になる。
少し外に出られるようになったと思ったのに、また人が怖くなる。
あそこにアラタさんを送り込んだ要因の全てが恨めしくてたまらなくても、アラタさんそのものは恨めしいと思わない。すきとかそーゆーんではない。あの人は或る意味で媒体で、それ以上でもそれ以下でもない。私がそれを通じて自己の肯定という自信を取り込んだ、媒体だっただけ。考えてみれば何も知らない。ボロ家に住んでいるということだけ。
神様のようなものを憎む。
下向いたままだった情けない自分を憎む。
髪を切っておいて良かったと瞬間思った自分を憎む。
欺瞞を欺瞞として放っておくことを赦さなかった運命さんを憎む。
無視されることに憤ってわざわざ私の上に降臨してくださった真実さんを憎む。
真実さん、私が七年間探し続けていた時は、アナタが私をてんで無視していたくせに。
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2005.07.28.02:46
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