恋ヒシカルベキ

自衛の為じゃなく、攻撃に転じる為でもなく、このトゲトゲ、これは私の付属品じゃないのです。このトゲトゲ。これも私の一部なのです。中まで私が、詰まっているのです。ぎゅうぎゅうに。

これが私だし、私はこれなのです。

恥じる気はないし、情けなくもない。

私を挫いたのは後にも先にもたった一人で、そのたった一人に、もう二度と会うことのない。

だから貴方が畏れることはない。
私は貴方との距離を詰めない。
貴方を傷つけるから。

可愛かったんで、なんか思った。
ああ、どーしよーもないわ、とか、そんなふうに思った。

あのように可愛らしい人だったんで、厭んなった。
これじゃ先が見えているわ、とか、漠然と思った。

あれじゃ無理ですってば。
私がこの先に負けますし。
けがらわしくなりますよ。

そんなふうな思い出になるのは、厭ですよう。

奥様があのように可愛らしかったんで。
ほんと、ヤになった。

ココロの中に、黒い線がいっぱい出た。

何に負けるのだロウ、とそこでまた思う。
何に負けるのだろ。

自分。
彼女。
貴方。
社会。
理性。
野生。
本性。
自分の中のお利口さん。
時間。
過去。
まだまだある、いくらでも出てくる。
成り行き。
誤算。
誤解。
岐路。
すれ違い。
行き違い。
自分らの中の狂気。
自分の引き起こした彼女の中の侮辱。

私はもう辱めた？
あの人を辱めた？

それに対して誰に許しを乞えばいいわけ。
貴方が許せば、それで終わりになるの。

ですか。

私は、勝っちゃいけないのですか。
私が、負けたらば全て収まるのですか。

何に負ければ一番いいのですか。
何に勝てば満足いくのですか。

阿呆な。
なんて阿呆な。