恋ヒシカルベキ

余るところから取って、足りないところに持っていく。というようなことができない。余るところでは余ったまま端から腐らせていくばかり。足りないところではいつまでたっても足りないまんま。そのせいで幾つ命が死のうと、誰がその理不尽を嘆こうと呪おうと、バランスは悪いのだ。物質のバランスってものは、派手に傾いてまた反対に傾いて、とるものなのだ。ぐらぐらを抑えて、平衡を保つってことはできないのね。

派手に右にがくん！
派手に左にがくん！

下にいるのを圧し潰して、上にいるやつを弾き飛ばして、右がプラスに触れれば触れるほど今度は左が同じほど深いマイナスに触れる、そういう過激なバランスの取り方をするのだわ。

理不尽、とか言うね。
それがそもそも正常態であったなら、僕らが望みすぎたというだけで、ケリをつけてしまえるのだろうね。

ああもうみんな、いたずらに自分を切ったりするの、やめなよね。

姿の、見えないモノどもよ。何処に生きているのだ、今。何処で細々と、その種を繋いでいるのか、君ら。もうこの同じボォルの中にはいないのだろうか。いないのかもしれない。僕らが追いやったのか。僕らかもしれない。

僕は、

ああ、なんてこった、僕は、僕は！

還りたくはない二度と君の名を叫びたくはない、ただそれだけを無意識に欲して、そのあまり、あんなさり気のない行きずりのモノまでも無理矢理に引きずり込んで、賭けに

（まったく、ギャンブル。忠告、遅かった。）

賭けに、走ったというのに、僕は。
結果をくれなくていい。
せめて理由を頂戴。これにふさわしい理由を。